ドライアイは、目の表面の健康が保てなくなる病気のひとつです。
現代人は、テレビやパソコン、スマートフォンなどに囲まれているので目を酷使しがちです。
ドライアイが進行すると、視力の低下や目の痛みといった症状が現れます。
ドライアイの症状チェック
以下の項目のうち、5個以上の項目にあてはまる場合は、ドライアイの可能性があります。
- 目が疲れやすい
- 物がかすんで見える
- 目がゴロゴロする
- 光を見ると眩しい
- 目が乾いた感じがする
- めやにが出る
- なんとなく目に不快感がある
- 涙が出る
- 目が痛い
- 目が赤い、充血している
ご存知ですか?ドライアイでも視力が不安定になることを。
見えないという症状はあるけれど、視力検査をすると、1.0以上視力が獲得でき、問題ないと言われてしまうことはありませんか?当院では実用視力計を用い、持続的に視力が保たれているのかどうかをチェックすることが可能です。ドライアイの方は、最初1.0以上視力が出ていても、時間と共に低下してしまうことが多々見受けられます。
そのためピント合わせ(調節)に負担がかかり眼精疲労の原因になることが近年いわれています。
Q 実用視力ってなんだろう?
通常の視力検査は瞬時にでも見えた視力が最高視力となります。でも
- 検査で1.0以上視力が出ているが、何となく見づらい
- 夕方になると視力が下がる気がする…
- 眼が疲れる
- 眼からくる肩こりや眼痛がある
などの症状はございませんか?実用視力はその瞬間ではなく、1分間視力を計り続けることでその方の視力の変動を記録し、平均視力を計測します。特にドライアイの方は眼の表面の涙液が不安定となり、視機能や調節機能に負担がかかることがわかってきました。こちらの機種は慶應義塾大学病院にてお試し頂けます。
ドライアイの原因
一般的なドライアイは、環境要因が大きいと考えられており、パソコンやスマートフォンなどの凝視や、冷暖房などの空調、コンタクトレンズの長期・長時間装用などがリスクファクターとして挙げられます。さらには夜型の生活、食生活の変化、運動不足など、ライフスタイルの関与や加齢による影響も指摘されています。近年、これらによりさらに罹患率が上昇しており、社会的な問題となっています。当院では食生活や栄養素摂取を中心としたライフスタイルの改善についても当院でご提案させていただいております。
まばたき数の低下
- 長時間のテレビ・パソコン・スマートフォンなどの使用
- 運転・読書・細かい作業などの目を酷使する作業
涙の質、量の低下
- 高齢
- 夜更かし
- ストレス
- 病気、薬剤の影響
涙が蒸発しやすい
- 目が大きい
- エアコンなどによる空気の乾燥
その他
- コンタクトレンズの使用
- 過度な目周りのお化粧
- アレルギー性結膜炎
- 紫外線
マイボーム腺機能不全(Meibomian Gland Dysfunction)、略してMGD(エム・ジー・ディー)と言います。
ドライアイの治療
ドライアイの治療は、適切な診断と点眼が主な治療となります。
点眼液
最近では眼の表面の異常、すなわち涙の不安定性の原因を層別に診断し、その異常の層に適した点眼や方法を選択して、涙液層の安定性をさらに高めることができるようになりました。より効果的にドライアイを治療するという治療コンセプトはTear film oriented therapy (TFOT)として、わが国のドライアイ治療の基本の考え方として定着しつつあります。(下図)
外科的処置
点眼で効果が得られない場合には、涙点プラグやコラーゲン製涙点プラグ等による専門的な治療を行います。涙点プラグとは、涙を排出する「涙点」をふさぎ、少ない涙を目に溜める治療法です。
痛みもなく、短時間で施術することができます。
マイボーム腺機能不全の治療
抗酸化治療
涙液中や角膜表面にはもともとラクトフェリンを始めとする抗酸化作用をもつ酵素や物質が存在しており、眼表面を保護しているのです。ドライアイではこのバランスが崩れ、酸化ストレスが亢進していることが示唆されているため、抗酸化を観点においた治療薬の開発も期待されています。 大規模試験での結果は得られていないものの、様々な栄養素において結果を期待されており、ω-3系(EPA、DHA)の投与がドライアイの眼所見改善と炎症細胞の低下をもたらしたとの報告があります。現在では様々なサプリメントにより臨床研究が行われていますが、今後は、点眼など局所治療の発展に加えて、メタボリックシンドロームやホルモン分泌の影響なども把握し、例えばライフスタイルに対する介入など、包括的なアプローチも必要になってくると考えております。
その他
ドライアイ専用メガネ:涙の蒸発を防いだり、外因性の刺激から目を守ることを目的にドライアイ専用メガネを装用することも、目の環境を保つ意味で重要な役割を担っています。
マイボーム線機能不全
(Meibomain Gland Dysfunction)
マイボーム腺は瞼に存在する外分泌腺で、油成分を分泌することで、涙液の蒸発を防ぐ役割を担っています。ここが年齢や、さまざまな原因によってびまん性に機能不全に陥ってしまいます。そのため涙の蒸発が進行してドライアイになることが最近わかってきました。実は、ドライアイの原因の86%がこのマイボーム腺機能不全であるという報告がなされています。残念ながら、現在、マイボーム腺機能不全の特効薬や治療方法はありません。しかし対症療法をすることで症状はかなり改善します。
また、治療方法だけでなく、マイボーム腺機能不全の自覚症状も、特有なものは現在確立されていません。経験的に、瞼の開閉が困難である(ずっと眼を閉じていたい感覚である)、ゴロゴロする、などはっきりはしなくとも不快感を感じるというものが多い印象があります。マイボーム腺の開口部は通常の診察で診察可能ですが、マイボーム腺の腺管構造は、赤外線を用いたマイボグラフィーで観察が可能です。当院ではマイボグラフィーを導入し、患者さまのマイボーム腺構造を診察しております。ドライアイで治療をしても、改善しない場合は、マイボーム腺機能不全の可能性があります。是非一度、マイボグラフィーを用いた眼表面の診察を受けて下さい。
治療方法
以下のようなセルフケアが中心となっており、眼瞼の環境を整えることが重要と考えられています。
- 眼瞼清拭(目の周りを洗う)
- 温罨法(眼を温める)
「アイシャンプー」によるセルフケア
メイクをしている方は、通常のメイク落としでメイクを落とした後、アイシャンプーを5~6プッシュ手に取ります。
アイシャンプーを目元にやさしく伸ばし、まつ毛の根元の汚れを落とすように軽くマッサージします。汚れが気になる時は、綿棒を使用しても良いでしょう。
水またはぬるま湯で洗い流します。洗顔は、アイシャンプーの前でも後でもかまいません。
その他の治療 ( 当院ではお取り扱いがございません。 )
- Lipiflow:眼瞼全体に圧力と熱(41℃〜43℃)を加えることで、一度に眼瞼のマイボーム腺脂の溶解や圧出させる施術
- Maskin Probe:さらに積極的な治療として マイボーム腺の閉塞を一つずつ開口していく